【マレーシアで消費税が3年で消えた理由】興味や関心があることを話せるから起こった歴史的瞬間
来月から消費税がなくなることが今日決まったマレーシア。「商店とか間に合うのかな」と不安なのかと思いきや、ローカルの友人はみんな大喜び。「落っこちるほど買い物したい」「買って買って新政府に貢献しよう」って。いつもならがだけど、政府の動きが早すぎて、振り落とされそう。
— Kyoko Nomoto@KL (@mahisan8181) 2018年5月16日
今回の投票率は82パーセント。投票には不正も囁かれ、誰もが「また同じ政権だろう」と思っていた。若者の多くが地元まで飛行機や車で帰り投票し、マレー人と華人、インド人が協力。独立以来、初となる政権交代が起こった。これを守らなければと人々も必死なのだと思う。
— Kyoko Nomoto@KL (@mahisan8181) 2018年5月17日
マレーシアで消費税がなくなる!と決まったとのこと。
そして、それは60年以上続いた政権を、人々が選挙で変えた結果だというのだ!
面白そうなので、早速調べてみた。
マレーシアの消費税 期間と効果
まずは、マレーシアの消費税について調べてみた。
- 開始は2015年4月(3年前)から
- 税率は6%
- 一部の品目(米、食塩などの食料品、一定の電気・水道料金など)は非課税(0%)
他にも日本の消費税とは違う点はあるが、それは省略する。
その消費税を導入して、どうなったのか。
一部の生活必需品は非課税とはいえ、それでも消費はかなり減った。
小売店の成長率は、下げ予想になり、消費も落ち込んだ。
当然、消費税への反発が起こった。
一方、消費税は導入前に反対デモが相次ぐなど消費者の反発が根強い。野党も中間層以下は通貨安の影響で生活コストが上昇しており、消費税は生活圧迫に追い打ちをかけるものだと批判を強めている。
- マレーシア、消費税導入で小売業急減速 売上高4.9%増に下方修正
元々、物価も日本より低いマレーシアでは、さらに消費税の影響は強かったようだ。
選挙の理由と、選挙前の妨害
消費税のほかにも政権の汚職等で、政権交代の期待が高まった。
「第1に、前政権によって(消費税など)生活コストが上がったこと。マレー人の多くも政府の汚職やスキャンダルに対してうんざりしていた。第2に、この10年ほど、野党政権がペナンやセランゴールの州政治の実績で、国民戦線よりずっと良いと証明したこと。第3にマハティール氏やアンワル・イブラヒム氏のほうが、マレー人にとってナジブ氏よりも馴染みがあったことだ」
- マレーシアの歴史的政権交代はなぜ起きたか
マレーシアはいろんな人種の人たちが暮らす国だ。
日本にいるとわかりづらい感覚だが、人種で国政を分けたり、あげくに虐殺までしてしまう歴史が多くあるほど、人種の壁は厚い。
その熱い壁の人種を超えて、マレーシア人として政権を変えたかった。
しかし、同時にそこまでの政権交代の声が高まると、政権側はいろんなことをしてくる。
不正選挙の疑いや、野党党首の飛行機の不具合が選挙妨害だ。とする声。
選挙直前に「偽ニュース対策法」という法律が通るなど緊迫していた。
政府は「国民を不正確な情報から守るのが目的」と説明するが、総選挙を控えた時期に短期間の審議で可決されたことから、政権批判を抑える情報統制強化との見方も浮上している。
- 偽ニュース対策法が波紋=総選挙控え統制強化か-マレーシア
それでもマレーシアの人たちが戦ったのは、関心と熱意があったから。
悪条件にもかかわらず、投票率は82.3パーセントとなった。
筆者の友人、知人も多くが投票。投票の印であるインクで汚れた指をSNSでシェアした。インド系マレーシア人の友人は「シャーアラムの投票所は大混雑で4時間も並んで投票した」と話す。今回は今の体制を変えたいと、初めて投票したという人も少なくなかった。
- マレーシアの歴史的政権交代はなぜ起きたか
私は外国人ですが、この国の大きな歴史の転換点に立ち会えた事、また本気で祖国を変えようと世界中から力を合わせたマレーシア人を目の当たりに出来たこと、とても幸せにありがたく思います。
(略)
消費税の早期撤廃について調べはじめたのに、選挙の話になるとマレーシアの人たちがいかに戦ったのか。がかなり書かれていた。
妨害が以前にもあり、それでもなんとか正当な選挙して、政権を変えたい。
- 開票時に停電による妨害の可能性があるから、事前にヘッドライトをつける開票委員。
- 選挙のインクは消えにくいから、選挙に行ってきた証明にインクをつけたら割り引くとした商店
- 意図的に遅れた海外のマレーシア人の投票用紙をジェットで送った人
こんな形で、いろんな方法で選挙を成功させよう。とする人々が現れた結果。
現政権になって、消費税は政権発足(5月9日)から約一週間(5月16日)には決定した。
それ以外にも、いろんな変化があるに違いない。
それくらい、政権を変えたい!とするマレーシアの人たちの思いがあったのだ。
マレーシアの人たちの政治への関心の強さ
最後に、なんでそんなことが、マレーシアの人たちにできたのか。
それを書いておきたい。
もちろん、妨害に対しての対応や、人びとの熱意があったのだが。
なんで、熱意があった?
なんで、人々が政権を変えたい。と意見が一致したんだ?
SNSなどのネットでも、先の「偽ニュース対策法」が施行された。
そんな状況でも政治を変えられたのは、政治への関心があったからだ。
マレーシアでは子供たちも政治の話を普通にするので、中華系ローカル校に通う娘(高2)のクラスチャットは夜通し政治の話で持ちきり、大変な事になっていたと。途中から通知をオフにして寝て朝起きたら400件以上のチャット履歴が残っていたそう。実は前回選挙時の小学生でも、通っていたインター校で「どの政党を支持するか?」といった話をしていて驚きました。
- マレーシア下院総選挙2018、日本の皆さんに知ってほしいこと
どんな行動を起こすにも、まずは興味や関心がなければ起こせない。
マレーシアの人たちは、学校の頃から政治の話をするのが普通なのだ。
政治の話で400通のチャット履歴を残せるのだ。
いったい、どれだけの意見が政治に対して出たんだろう。
まして、彼らはまだ選挙権もない。
自分の意見を持って話せるようにしていこう
マレーシアの現政権と、マレーシアの人たちがこれからどうなるかはわからない。
だって、政権交代も消費税廃止決定もまだ2週間たってないのだ。
ただ、それでもマレーシアの人たちは、政治の話を続けると思う。
興味や関心をもったままなら、それは行動につながるだろう。
私は日本に住んでいて、政治の話をあまりできていない。
ツイッターやネットでは多くの意見があるが、実際の職場や友人と話せる機会は少ない。
政治の話をするのはタブーという空気があったり、そもそも政治に関心がない人も身近には多い。
べつに政治に限らない。
私は生活にかかわるから政治の話がしたい。
いろんな意見や考え、私への反対意見も聞きたい。
そういう意味で、マレーシアの人たちがうらやましくはある。
だからこそ、自分は話すし、だれかが話した時に聞く姿勢を見せたいと思っている。
見てほしい記事:
参考
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2015年 GST(多段階消費税)導入時
マレーシア、消費税導入で小売業急減速 売上高4.9%増に下方修正
2015.4.17 05:00
いよいよGST導入~マレーシア進出企業は待ったなし!~
2015年1月29日
https://www.miraic.jp/mc-blog/2015/0129_084824.html
2018年5月9日 現首相就任
偽ニュース対策法が波紋=総選挙控え統制強化か-マレーシア
2018/04/07
マハティール氏がマレーシア首相就任、経済安定優先を約束
2018年5月11日
マレーシアの歴史的政権交代はなぜ起きたか そのとき、現地の人々が取った行動とは?
2018年05月17日
マレーシア下院総選挙2018、日本の皆さんに知ってほしいこと
2018年5月17日
歴史的瞬間 de マレーシア
2018-05-10 09:57:18
2018年5月16日 GST(多段階消費税)決定
マレーシア、6月1日に消費税廃止 総選挙で約束
2018/5/16 19:02
マレーシアの消費税が6月1日から0パーセントに
2018年5月17日
消費税廃止 at マレーシア
2018-05-17 23:45:27